疲れたときに「疲れたなあ」という顔をする(行動)と、否定的なプログラムが強化されることにより、ますます疲れてしまいます。
病気になった時に、具合が悪いなあと思えば(思考)思うほど、悪くなっていきます。そのことを現代医学では心因性と呼んでいますが、現代病の90%以上は、心因性と呼んでも過言ではないとのことです。
心因性とは、文字通り心が原因で健康に障害がもたらされ、病気を作ってしまったという意味ですが、そのことを日本では昔から「病は気から」という言葉で言い表していました。それに、病気という言葉自体、気の病と書くわけであり、ズバリ心因性であると言い当てていたわけです。
そのことに関連する話のひとつに、「髪の毛を濡れたままにしていると、風邪をひきますよ」といわれて育った子供と、「体を濡れたままにしていると、風邪をひきますよ」といわれて育った子供の比較があります。
実に興味深いことに、「髪の毛を濡れたままにしていると、風邪をひきますよ」といわれて育った人は、体を濡れたままにしていても風邪を引かず、髪の毛を濡らしたままにしていて、よく風邪をひきました。
後者の「体を濡れたままにしていると、風邪をひきますよ」といわれて育った人は、髪の毛を濡れたままにしていても風邪をひきませんでしたが、体を濡れたままにしていて、よく風邪をひきました。
そこで、なぜそのようなことが起きるのかと、次のような実験をしました。
被験者を10人集め、AtBの2つの部屋に5人ずつ入ってもらいました。Aは明るくて温かくて非常に心地良い部屋であり、Bは薄暗くて寒くてちょっと陰気な部屋でした。
そして2つの部屋に同じ量の風邪のウイルスを入れ、しばらく普通の生活をしてもらい、その後に健康診断をしたところ、ABどちらの部屋でも、ほぼ同数の人が風邪をひいているのがわかりました。
この実験は1回だけでなく、数回にわたって行われたそうですが、結果は変わらなかったそうです。私たちは普通、寒い部屋にいるほうが風邪をひきやすいと思いがちですが、そのようなことはないということが、実験の結果明らかになったということです。
では、いったい何が風邪の原因であったかということになるわけですが、まず第一に風邪をひくのは気温や環境だけでないということが、この実験結果からは言えそうです。
それに、「体が濡れたままだと風邪をひく」「髪の毛が濡れたままだと風邪をひく」とのことからも、風邪にも心因性の要素があるということが言えそうです。
心因性の病気というと、なんだか新しい病気のようですが、これはストレスによる病気とおそらく同じでしょう。かつては、飢饉だとか栄養失調、過労、睡眠不足などが体を悪くする原因になっていましたが、高度成長期以降の日本では、貧しさから来る病気の原因は減り、代わって心因性の病気、栄養を取りすぎのための病気が増えたわけです。
サルに精神的なストレスを与え続けると、胃潰瘍になることはよく知られています。人間ほどにはマインドのないサルでさえ、ストレスにより胃潰瘍になるのですから、人間がストレスにより様々な病気になるということは、容易に想像がつきます。
そのメカニズムも、ある程度わかっています。
ストレスにさらされ、心配、不安、恐怖を感じると、交感神経が刺激されて、アドレナリンが分泌されます。すると副交感神経が抑圧され、胃腸が不活発になり、潰瘍ができるのです。
この時には、同時にホルモン系が刺激されますので、成人病や精神病、ガンなどが誘発される危険性も出てきます。
逆に、満足したり安心感を持つと、ドーパミンという物質が脳下垂体から分泌されます。ドーパミンは、「やる気ホルモン」とも言われ、これが適度に分泌されると、やる気が出てきて、集中力も高まります。